#05  日沖亜也子さん (ウェディングプランナー/仙台市)

誰もが持っている「自分を形成しているもの」

それをゲスト本人に5つ選んでいただき、

どういう人かを紐解いて行きます。

5人目のゲストはウェディングプランナーの日沖亜也子さんです。

 


1.ウェディングプランナー

オリンピックの開会式を作る人になりたかった!?

そこからどう変化したのか

──今日はよろしくお願いします。まず日沖さんのプロフィールを簡単にご紹介お願いします。

 

福島県の郡山市の出身で、大学は東京の学校に行っていました。
地元に戻って結婚式の仕事について、出産したり、一回仕事を辞めたり、別の仕事についたりして、今はフリーのウェディングプランナーに落ち着いた感じです。

今フリーでウェディングプランナーをしているのでそのワードになったんですけど。小学生の時にオリンピックの開会式を見て、ずっと開会式を作る人になりたいと思っていました(笑)大学進学する時もその道が多少ある大学を選んで入ったんですけど、大学にはほとんど行かず。なのでウェディングプランナーに変更したのかっていうのが、今となってはちょっと曖昧なんですけど(笑)人が集まる場所が好きなので、そこに関わっていたいなと思ってました。

 

──ウェディングプランナーになったきっかけは?

 

事情があって地元に戻ってしばらく居酒屋のバイトをしていました。そこで知り合ったレストランウェディングをやってる人にお声掛けいただき仲間に入れてもらいました。

 

──最初に入った会社はどんな会社でしたか?

 

レストランウェディングをやってるレストランにお世話になりました。そのあとは旅館のウェディングをしているところにお世話になって。そこの若女将が統括してたんですけど、その若女将がすごい人だったので、大きな影響を受けました。出産して仙台にきてから、「ママが得意を生かそう」というイベントの実行委員をさせていただいたことがあって。そこでフリーのカメラマンと、メイクの方と知り合って、私にできることと言ったらプランナーしかないし、やってみようかなと始めたのが今の働き方のきっかけです。

 

──生活がベースにあって、“それプラスで出来る何か”っていう感じだったんですね。

 

母でもあるので、子供の面倒もみないといけないですし。
うちの主人は土日出勤の仕事の為頼れないので、その中で出来る範囲でできることをと思ってやっていますね。
自宅で打合せをさせてもらいますが、別室には子供がいたりします。一ヶ月に一回できればいいなって思っています。まあその辺を含めて面白いと思ってくれる人がいれば。

 

──でも微笑ましいですよね。

 

皆さん結構そう言ってくれるんですよ。始める前は、「ちょっとそれないんじゃないの」とか思ってたんですけど、子供も打ち合わせの場所や別室にいたりすることもありますという事を、事前にお客様にはお伝えしているので。今はやってみてよかったのかなとか、お客様の理解がありがたいなあと思ってます。

 

 ──お申し込みされる方は何を通じてご依頼されることが多いですか?

 

今はインスタグラムを通してが多いですね。他にどこにも広告をうっていないので。インスタグラムから問い合わせてくれるってすごいことですよね。よく見つけてくれるなと。

 

──インスタグラムの影響大きいですね。ご依頼される方の年代は?

 

30代前後の方が多いですね。40代まではいかないかなあ。やっぱり、自分でお金出して結婚できるっていう世代なんだと思います。

 

──そうですよね。安いものではないですからね。

 

ご両親の援助はあまり受けたくないとか、受けないですとかいう方が多いですね。援助受ける方はやっぱりご両親の意向も組まないといけないので、私には行き着かないんじゃないかと思います。私自身いかにも“結婚式”っていう華々しい感じが好きじゃないので。プリンセスドレス(スカート部分が大きく膨らんだ華やかで可愛らしいデザインのドレス)にあこがれたことがないっていう(笑)

 

──カジュアルなテイストが多いですか?

 

そうですね。そういうのじゃないと作れない。自分の発想にないことはできないので。公園で行う式も理想ですね。本当に、カジュアルに身近にあるもので、ないものはないもので工夫するとか。そういう方が好きですね。
現在マルシェと結婚式を組み合わせたものを形にしている途中なんです。1 to 2ビル(仙台市青葉区にあるカフェ、ショップの複合施設)でお世話になる予定です。引き出物をマルシェの中から選んで、パーティーもして、一般の人にもマルシェに入ってもらえるし、ちょこっとお祝いの感じで見てもらえるようなウェディングを作りたいなと思うんです。

 

──面白そうですね!

 

理想としてあったものがようやく形になりそうな感じです。まずは1月に1 to 2ビルでフェアみたいなことを行なってイメージ作りを提供できたらいいなと。来年くらいから申し込みいただいたら動けるようにしようと思っています。

 

──具体的にウェディングプランナーのお仕事は、どんなことをされるんですか?本当に一から十までなんですか?

 

新郎新婦お二人の要望を聞いてそれを叶えられる場所を探して、打ち合わせして、喧嘩の仲裁して(笑)準備して、当日も会場にいます。申し込みから全部最後までやりますね。新郎新婦との打ち合わせは月に一回ペース、他にメールでのやり取りもしています。その合間に、会場担当の方や花屋さん、ヘアメイクさんなどと打ち合わせがあります。会場によって使えるものもあれば使えないものもあるし、それに合わせて手配しなければならないこともたくさん。やることはとても多いです。

 

──フリーランスでウェディングプランナーの仕事は仙台ではそんなに多くないですよね。フリーとしての難しさや、新たな手法ならではの難しさはありますか?

 

あんまりその辺は考えてないんですよね。ふわっと始めたからやっていけるんだと思います。すごいガチガチにこうしてこうして!と思わず、あぁ大変だったけど楽しかったなって終わる感じです(笑)参入なんて大それたことは出来ないです。人の役に立てばいいかなと。楽しくないとやりたくなくなっちゃうんですよ、正解かは別として。それくらいがいいかなって。

 


2.母

子供が出来て分かった自身のこと、

完璧じゃなくていい、それをもっと伝えたい

2人の男の子がいます。上の子がたくましくしっかり育ってくれて、いろいろと頼れるようになってきました。でも制約も多いですよね。保育所に預けてフルタイムで働く事はどうしても気持ちが引っかかって。だからといって子供とベタベタしたいわけでもないんですけどね。子供も大事にした上で仕事をしたいと考えたので、今のスタイルができたんだと思います。


 

母親になる前は母親業ってもっと幸せだと思ってました。実際は壮絶ですね。自分の闇みたいなところも出てきたし。私こんな人間だったんだって初めて気づきました。母親はこうあるべきだっていう理想像があったのでガチガチになっちゃってました。それですごく自分を責めちゃって。でもいいチャンスをもらえました。罪悪感の反動で保育所へ預けられないのかもしれないです。自分で見てあげないとという気持ちで。今年になってようやくそれが剥がせてきたところです。完璧主義的なのは続かないぜって。今までだったらこんなこと言えなかったです。だめな母親って思われたくなかったから。

 

──よく子供に育てられるって言いますけど、本当にそんな感じですね。

 

子供がいながらの打ち合わせする事も、少しでも子育てをしている風景に触れてもらえたらなと。結婚してこれから子供を持つ人たちもいらっしゃると思うので、私みたいな思いをする人が少しでも減ってくれたらなって思います。

 

──将来こういう風になるだろうなっていうのが見れるのはとてもいい環境ですね。

 

母親になってもこういう働き方してる人がいるんだなって思う人が1人でも増えたらいいですね。

私自身も、母親が実家の仕事を手伝っていたので、実家の横に事務所があったんですよ。よく事務所にも遊びに行ったので、それもありかなと思って。そこがベースなのかもしれません。


3.テーマパーク

働いて得た価値観が

今の自分を形成する1つ

千葉の某テーマパークのことなんですが。小さい時から好きで、毎年連れて行ってもらってました。大学で東京に出たときに、たまたま千葉の友達と仲良くなって私が好きだって話をしたら、求人の折り込みを持ってきてくれて。それで受けたんですよね。キャストを3年位しましたね。ダンサーではなく、キャラクターでもないです。

 

──日沖さんはどんなお仕事内容だったんですか?

 

予約制のレストランで働いていました。ショーのあるレストランなんですけど、キャラクターが出てきてショーを見ながらディナーを楽しめるって感じです。ホールでサービスの仕事をしてました。いまだに忘れられない話があるんですけど、車椅子の人がいたんですよ。目線位しか動かない人。仲良かったキャストが、その人に声をかけて、その人をステージに連れて行ったんです。ステージに上がれなかったんですけど、友人のその声かけ自体に泣けてきちゃいますよね。すごいなと思って。私は車椅子ってだけで移動できないなって勝手に考えちゃってたのに。

そのおかげでキャラクターも近くに寄ってくれて。友人の声かけでその人にとっていい思い出になったかもしれないなと思っています。

 

──教育理念だったりとか、働いている1人ひとりの思いというのが本当に素晴らしいですね。働くことで価値観を変えるって。

 

色々ルールもあるんです。帰りの電車の中で仕事の話をしちゃいけないとか、お客様も同じ電車にいるので。

掃除担当のキャストはしゃがんじゃいけないんです。濡れてる時も足でふくんですよ。しゃがむと子供にぶつかるから。そういう小さいことも気にしてますよね。

 

働いてる人たちに対しても夢を壊さないようにしてるってことですよね。
その経験は日沖さんの一部になってますね。

 

人を感動させたり、思い出に残ることを作るっていうのはすごいと思います。ショーが終わる時にキャラクターが手を振るんですよ。その時横で見てるんですけど、それを見てるゲストの顔を見ると泣けてきました。そこで、こういう瞬間を私も作りたいなと思いました。働いている間はすごく楽しかったし、その人たちとの繋がりが今でもあるのが大きい。大学よりテーマパークへ行ってた(笑)


4.音楽

聞くだけじゃなくて、

自分でやりたい思いを

発散するもの

音楽は、ずっと身近にあると思っていて、最初に小学校の合唱部というとこから始まっています、その部はなかなか熱い学校で強いチームでした。合宿もあって。歌のお兄さんも講師にきましたよ!贅沢な体験したなあ。先生は怖かったですけどね。高校の文化祭では友達とステージに出たり。大学では音楽サークルで歌ったり、楽器触ったり。今年と昨年はステージに立つプロジェクトがあって、サンバの打楽器をやったんですけど、それにハマったり。ストレスあったら歌ったり。とりあえず聞くよりやる方いいですね。音楽に詳しいとかではないですけど。ふれていたいです。安定する。闇深く聞こえちゃいますけど(笑)ライブとかも好きです。行くとカラオケ行きたくなる。私もしたい!みたいな。

 

──発散の場でもあるんですね。

 

そうかもしれないです。打楽器が終わっちゃったので、ロスです(笑)モンキーマジックのバックバンドで演奏している人が講師なんですが、結構本格的に教えてもらって。本番のステージに立って、練習場所の市民センターの祭にも今年出させてもらいました。へピニキっていう楽器で、右がスティック、左が素手で叩く太鼓なんですよ。叩きかたもいろいろ。コツがいります。初めて弾きましたね。

 

──バンド組んだりはしないんですか?

 

やってみたいです。ずっと言ってるんですけど、やりたいやりたい詐欺みたいな(笑)でも今やっても半端になっちゃうなと思って。

 

──ジャズフェスとか見る側より出る側がいいですか?

 

出たいですよね。いつかいいタイミングで、いいペースで練習できる仲間がいればと思っています。



5.友達

ありがたい存在

私は恵まれている

大抵そうだと思いますけど、いないと成り立たないと思っていて。半分ぐらいひと×ひとさんのページをお借りして、友人に「私は感謝してるんだぜっ」ていうのを伝えたい(笑)
何かあるとやっぱり力になってくれたし、支えてくれたし。
人によっては昔の友達とは関わりがないっていうのもあると思うんですけど、そう考えると私は恵まれていて。

何十年来の友達に、頻繁には会えなくても、「きっとあの子のことだから頑張ってるんだろうな」と思うだけで元気をもらったり。恵まれていると思うんです。私を信じてくれてる友達から、「あやちゃんならできるんじゃない?大丈夫だよ」って言ってもらえることは、すごいなって思うし、そういう人がいてくれるってありがたいなと。

 

──そういう感覚って前からですか?

 

高校生の時だったか、私の父はザ・亭主関白的な父親だったんですけど、その父に「お前は友達に恵まれてるよな」って言ってもらって。それがきっかけで気づいたということがあって。中学校まではそんなに恵まれている感覚はなかったんですけど、高校くらいからかな。こう見えて人見知りで(笑)心を開いたら執着するじゃないですけど、その人と深く長く、ずっと付き合いたいなって思う方なんで。年を重ねたぶんそういう人が増えたなって思います。心開くまでに時間がかかるので。傷つくのが怖かったんです。今は裏切られたり傷つけられたとしても、まあまあやっていけるようになったんで、疑う時間は短くなりました。

この歳になっても、人に出会えてるのもありがたいです。ママ友はママ友で独特の世界だし、だからと言って私は会社に勤めてるわけでもないから。そんな中で友達としてちゃんと付き合っていける人たちに出会えたっていうのがすごくありがたいですよね。うちの主人は、友達と遊びに随分と行ってなくて。
サービス業というのもあって予定が合わないし、さらに仙台転勤してきたので、こっちでお友達もいないから仕事と家の往復です。家族と過ごすだけなんです。こういう人もいるんだなと。

 

──それでもご主人は平気なんですか?


 

諦めてる感じですかね…休みも少ないし、拘束時間が長いんで。
でも疲れてても出掛けたがるっていう。私とは時間を合わせやすいので、平日によくデートしてます!旦那のこと超好きなんです(笑)その割にそんな感じなの!?って思うでしょうけど(笑)

 

──幸せそうですね!

 

今は幸せですね(笑)

 

──周りに信頼して支えてくれる方がいてくれるからこそ、自分らしく立ってられる感じでしょうか?

 

それは大いにありますね。


番外編:フリーではたらくってどうですか?

──5つのワード以外にいくつかご質問があります。日沖さんのような働き方をするフリーのウエディングプランナーが増えたらいいなと思いますか?

 

そうですね。もっといろんな方がでたらいいなと思います。いまは結婚式をしない方も増えているので。でも結婚式ってやったら絶対いいものなんです。結婚式場が嫌ならいろんなフリーのプランナーさんがいてくれればと。式をすることで、結婚して何かにつまづいた時に立ち返られると思うんで。意外と男性の方がやってよかったと喜んでくれる方が多いんです。男性の方がより実感が入るみたいです。

偏った見方(プランナーだから)じゃなくて、今までお世話になった方が一同に祝福してくれることを実感できる場という意味で結婚式をやってもらいたいなと思います。親族の食事会だけでも全然違いますよ。プランナーも結局は人なので、合う合わないもありますし。
いろんな個性のあるプランナーさんがでてくれると嬉しいです。

 

──「フリーランスだからこその悩み」ってありますか?

 

モチベーションの保ち方でしょうか(笑)一人なので、なかなか一定に保つのが難しい(笑)モチベーションが下がった時は自分責めが始まり、下がったなって時はその辺を察してくれる友達に会ったりします(笑)映画を見たりとか。根暗モードに入ると全然上がらなくなるんです(笑)
急に孤独が来ますよね。

 

──フリーランスあるあるかもしれませんね。

 

誰も理解してくれないんじゃないかとか、あいつサボってやがるとか思われるんじゃないかとか。

 

──仙台ではフリーランスが多くないから余計かもしれないですね。

 

そうですね、個人のお店だとか、個人の活躍する場所が増えるともっと街に個性が出て面白くなると思います。なので少しですけど、結婚式を挙げてもらって、小さなお店の人たちの売り上げに少しでもなれば、続けていける1つの要素になればいいなと思って、マルシェウエディングっていうのをやりたいなと思ってるんです。本当に微々たるものだけど、自分ができることで何か変わっていければと。

 

──日沖さんにとって仙台ってどんな場所ですか?


 

仙台に引っ越す時に、仙台はすっごく住みやすかった、定住したかったっていう人が多くて。ちょっと行けば街中、ちょっと行けば自然があるしっていう適度な街がよかったと住んでみて実感しているけど。子供がいるので、子供連れで歩くことを考えると、どうしても郊外の大型店で車に行けて、歩いてても安全でみたいなところを選びがちですよね。子供を預けて、親はただ座ってお茶してられるような場所が街中にあればいいなと思います。

福島は原発のことがあったんで、無料の屋内スペースがあって、山形もそういう施設に力を入れてるんですよね。年齢の違う子供でも、遊びが違っていても同じ建物の中で遊べるんですよ。仙台にもそういう場所が欲しいですね。友達と話してても、あんまりキッズフレンドリーの街じゃないっていうか。ママが入りやすいカフェも多くないですし、 小さい赤ちゃん連れて入りやすいお店とかもう少し増えたら嬉しいなと思います。

 

──お母さんならではの悩みですね。

 

放牧しないと行けないんで(笑)ずっと家の中に入れると騒ぎ始めるんで(笑)公園に関しても、仙台の公園って何もない公園が多いですよね。

 

──確かに…(汗)

 

「のびすく(子育て支援施設)」とかもありますけど小さい子向けなので、幅広い年齢の子供が遊べる場所を作ってください(笑)親も目の届く範囲でゆっくりできるスペースもつけてください(笑)

 

──新たな視点を教えて頂きありがとうございます!今日はありがとうございました!

 

ありがとうございました!


日沖さんとお話していて、私が一番感じたことは幸せから生み出される“優しさ”でした。たくさんの経験が、日沖さんをより優しくし、その優しさがあるからこそフリーのウェディングプランナーとしての日沖さんの個性を引き立てているのかなと思います。新たな計画も今から楽しみです! 

 

インタビュアー:白鳥 ゆい

 

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